グライダー競技って なあに?

 

大会の歴史

この大会は『全日本学生グライダー競技選手権大会』といいます。今年で50回目になり、年々選手の技量が向上した大会になっています。

第1回は昭和13(1938)年8月に長野県霧ケ峰高原で開かれています。その後戦争などで何度か中断されましたが、昭和42(1967)年の第17回大会から、ここ妻沼滑空場で開かれるようになりました。

今大会には2009年10月から12月にかけて、関東、東海・関西、西部支部で開かれた予選を勝ち抜いた、20チーム、49選手が出場しています。

 

◎競技空域・競技種目

競技空域は、足利市、藤岡町、行田市、太田市を結ぶ区域内で、高度は630m以上、1,800m以下で行われます

競技種目は、周回コース速度競技です。地図上に三角形の周回コースを設定し、上空から各旋回点を回ってきた証拠として写真を撮ります。写真は決められた範囲内で素早く撮るため失敗例も多く、飛行技術に加え写真を上手に撮る技術も要求されます。

周回コースとしては、最短の妻沼滑空場―高林給水塔(太田市)―千代田(千代田町)−妻沼の24km、最長の妻沼―高山(太田市)―館林IC−妻沼の46kmなど、6コースを設定しています。当日の朝、気象条件などから競技する周回コースを決定します。このコースを早く周回したチームが、上位得点します。周回時間は、ウインチ曳航の離脱からゴールゲート通過までの時間を言い、秒単位で測定します。

競技機は、各チームに1機、1チームは3人以内の選手で構成します。他大学との混成チームでの参加もあります。

競技時間は、10時30分から17時までで、当日の離陸(発航)順番は抽選により決めます。気象条件などによる離陸順番の不公平をなくすためです。各選手は1日何回飛んでも構いませんが、得点は当日の最終飛行をその選手の得点とします。チーム得点は3選手の合計点です。

 

【東京ドーム9個分の広さの妻沼第一滑空場】

◎上昇気流がエンジンに

離陸はウインチという高速巻き取り機により、直径5o、長さ約1,300mの鋼索(ワイヤ)を時速100q前後の速度で巻き取り、グライダーは凧揚げと同じ要領で、高度300m〜500mの高さまで上昇します。上昇限界になったら、グライダー側でワイヤを切り離し(離脱)ます。ワイヤ先端で小さなパラシュートが開いた瞬間が離脱にあたり、地上・グライダー相互で切り離しと高度の確認をします。この時から競技が開始されます。それから上昇気流に乗り、だいたい1,000m以上に上昇すると周回コースへと向かいます。

グライダーは飛行中でも毎秒約1mで自然降下していますので、1,000mの高度があっても1周24km〜46kmあるコースを周回することは困難です。そこで途中でもう1つ、2つの上昇気流を早く見つけ、さらに高度を上昇させます。上昇力の強い所で効率よく上昇しないと、時間がかかってしまいます。

24kmのコースを1周するのに早い人で20分、遅い人で2時間もかかります。当日の1番早い人に1,000点が与えられ、以下早い順に比例配点されます。

 

【速さ・高さなどを知るための機械があるコックピット カッコイイ !】

グライダー競技会には、「滞空時間」、「獲得高度」、「飛行距離」、「飛行速度」などの競技があります。滞空時間は選手の体力の続く限り何日でも飛べることがわかり、獲得高度は対流圏の上限あたりの1万m以上にも昇ることができ、飛行距離も2,000km以上飛べるようになりました。現在では世界選手権大会を始め、各国の大きなグライダー競技会は「飛行速度競技」が主流になっています。

グライダーを大空高く揚げてくれる上昇気流には、「斜面上昇風」、「前線上昇風」、「熱上昇風」、「山岳波」など色々あります。ここ妻沼滑空場で利用している上昇気流は主に、「熱上昇風」です。別名「サーマル」といわれています。

太陽が地面を暖めるとき乾燥した地面の上にある空気は、他の湿った場所にある空気より気温が上がり軽い空気となって上昇します。上空に冷たい寒気が入ってくると地上の空気が上昇しやすくなり、強い上昇気流が発生します。

上昇気流に乗るといっても、グライダーは上昇気流の中でも約1m/秒で自然降下しています。上昇気流が3m/秒で上昇しているとすると、その中にいるグライダーは相対的に2m/秒で上空に揚がっていくことになるのです。

グライダーは太陽エネルギーで飛ぶということで、いわばソーラーパワーを利用した省エネの元祖でもあります。

競技とはいえ無理をして、事故を起こしたら大変です。皆さんにも迷惑をかけてしまいます。選手は細心の注意を配り、慎重に飛行しています。

 

大学生のお兄さん、お姉さんへの応援を、よろしくお願いします

 

◎グライダーについての質問を受け付けます。メールかFAXでお尋ね下さい。

メール:jsal@asahi.com

Fax :03-3542-3263

 

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